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仙人温泉へ Ⅲ

10月12日(晴れ)
日の出に合せて千人池に出てみると、良い場所はでっかい三脚に占領されていた。
「剱本峰が見える筈やけどわからんなぁ!」と潤田さん。
肉眼ではもっと良く見えたのに
八峰に朝日が
しばらくして、八峰に朝日が当る直前、Ⅵ峰とⅦ峰の間の岩が一部だけ赤くなりだした。
「おー!あれが本峰やで!」
一番高い本峰が最初に朝日を受けて赤くなったのだ。
八峰に朝日が当たり出した。
すると、本峰と八峰の見分けが着かなくなってしまった。
八峰が随分明るくなった黒部別山の北峰・南峰も一緒に
すっかり明るくなりました部屋に戻ると、総会さんがいた。
「何しとったん?」
「トイレが空いたから、チャンスや思て行ってきた。」
「えー! 仙人池に来た目的はどうなったん?」

「今日は、池の平山へ行って仙人温泉泊りやから楽勝やなぁ!」
なんて言いながら出発。
仙人峠から西側の景色八峰上部、三ノ窓、小窓ノ王
仙人峠に出ると視界が広がる。
裏剱に始まって、遥かに針ノ木まで、奥行きのある眺めだ。
目の前にはでっかく、鋭い剱の峰々が天を突くようだ。
白馬~唐松への山並み針ノ木を遠景にナナカマド
剱を見た後では「不帰の剣」も穏やかに見えてしまう。朝日を受けて、晩期のナナカマドも燃えている。

ベンチのまわりで写真を撮っていると、写真が趣味という豊中の男性と知り合いになった。
しょっちゅう来ているらしく、池の平への道すがら、平の池や展望台へ行くことを勧められる。
池ノ平小屋に着くと、一昨日の紫の女性がいた。
「これから、阿曽原へ行って泊りです。」
「で、平の池には行ってきたの?」
「いえ、行ってませんよ。」
「池に映る裏剱を見ないで行くなんて、それはもったいない!」
豊中の人の受け売りで勧めると。
ザックを置いて、池に下りて行った。
57池ノ平から毛勝の山並み池ノ平の池塘に映るチンネ・小窓の王
宿泊準備をする豊中の人と別れ、北の山を眺めて後、池に下ることにした。池ノ平は、池塘が点在する秋色の草原だ。
平の池と八峰上部平の池と紅葉
平の池と八峰上部ナナカマドとⅦ・Ⅷ峰とチンネ6810120037.jpg
池ノ平を去る紫の女性彼女も池の近くで写真を撮っていたが、一足早く戻って行った。
「彼女、総会さんの写真撮っとったで!」
「うそや!」
「いや、ほんま! レンズが総会さんの方に向いとったもん。」
「そら『変なおっさんがおる。』思て撮っとったんやろ。」

展望台へ行くと、小窓雪渓を挟んで(三ノ窓雪渓は見えない)Ⅷ峰・チンネが覆い被さるように聳えている。
「あかん!カメラの高角度がたらんわ。」と言うと、
「魚眼レンズ持っとんやけどなぁ!」とデジカメを構えた潤田さんが答えた。
展望台にて池ノ平小屋と白馬岳7110120040.jpg展望台にて小窓
展望台にて八峰上部展望台にて平の池

池の平山は、下から見ると草原の山腹に一本道が通っており、穏かに見えた。
実際に歩いてみると、草原の急坂を直登するので厳しい道だった。
しかし、頂上についてからの展望は一級品だ。
池ノ平南峰にて針ノ木と剱池ノ平南峰にて北~東の展望
南には迫力満点 剱の岩峰が視野の大部分を占領している。北は池ノ平山北峰・白ハゲ・赤ハゲから毛勝の山、東は後立山連峰が続く。

絶景の中での昼食とコーヒータイムは、贅沢この上なし である。
潤田さんが「今回の山は成功やなぁ!」と独り言を発した。
「下ノ廊下は来年にしましょう。」

13時になったので下り始めると、豊中のカメラマンが登ってきた。
挨拶をして草原状の斜面にでる。
足を滑らしたら止まりそうもないゲレンデを降りて、池の平小屋へ。
「ええとこやなぁ! ビール、ビール」気分良く乾杯。
「予定外の寄道したから、結構遅なったで。」
池ノ平小屋横から白ハゲ・赤ハゲ仙人峠にて仙人池ヒュッテと五竜・鹿島槍
トイレに寄ったとき、大窓に続く「白ハゲ・赤ハゲ」を撮っていなかったことに気付く。仙人峠に着くと、休憩していたおじさんが「あなた達、池ノ平小屋でビール飲んでたでしょ!それから歩いて来るなんて、元気ありますなぁ!」と言う。
ひんしゅくを買ってしまった。

3人は先行し、仙人池ヒュッテに預けたザックを取りに行った。
一人、のんびり写真を撮らせてもらう。
仙人峠にて唐松岳仙人峠にて白馬三山と不帰のキレット

頃合いをみて、仙人池ヒュッテで合流し、仙人温泉小屋を目指した。
仙人谷への下りから白馬三山仙人谷の紅葉
仙人谷の紅葉と白馬岳仙人湯源泉の湯煙

仙人温泉小屋目指して仙人谷を下っているとき、男女の二人連れが追い抜いて行った。
「早やー!」
みるみる差は開いていく。
遅ればせながらも16時半、仙人温泉小屋に到着した。
食事は第二回目、18時からなので、ゆっくり温泉に浸かれる。
二人が上がってきたので、脱衣所が一杯、総会・潤田・豊川3人が先に入った。
服を脱いでいると、「オーイ!ビール買うて来てや。」
3人が叫ぶ。
「入る準備してからそんなこと言うかー! 『買うて来い。』言うなら、順番待ちしてるときに言わんかー!」
「アッ、怒っとる!怒っとる!」
とは言いながらビールを4本持って湯船に入る。
ホース2本から75度の源泉と水、うまくバランスしていて良い湯加減だ。
紅葉の唐松岳を背景に「かんぱーい!」
先程追い越していった男性が入っていた。
湯船にビニール袋が浮いている。
『ゴミか!』と思ったら、彼が酒を入れて燗していたのだ。

食事のとき、ざるそばを出された人がいた。
数年前から、そば職人にそば打ちを教える先生が、そば粉持参で来るようになり、タイミングが合った人だけ、数限定でそばを出すようになったそうである。
「僕、そばがめっちゃ好きなんですよ!」豊川君がうらめしげ言う。
それが功を奏した。
「少しだけですが。」と先生が打ったそばを出してきてくれた。
当然、他の3人もご相伴にあずかる。
「すごい腰があってうまいですねぇ!」
豊川君に一番多く分けたのは言うまでもない。

食後、焚き火前のベンチで酒盛りを始めると、あの早い男女がやって来た。
火が小さくなったとき、ペアの男性の方が、灰の中に太い角材を見つけて掘り出した。
「この木に火が点いたら長持ちするで!」と皆の意見。
しかし、なかなか燃えない。
それぞれが「なんとか燃え上がらそう。」と工夫するのが結構楽しい。
6人で遊んでいる内に就寝時間がやってきた。
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